project story

「東京オリンピック2020」を支えた
NISSOの技術力。NISSOだから
実現できた一大プロジェクトの軌跡。

project outline

東京オリンピック2020関連プロジェクト 新国立競技場建設に伴う足場設置 競技会場(青梅アーバン会場)観覧席の設営

1964年、日本中を熱狂させた東京オリンピック。あれから57年の時を経て、東京にオリンピックが帰ってきた。国を挙げての一大プロジェクトということもあり、オリンピックに関連した様々な建設工事が一斉にスタートした。その中でも、東京オリンピックの象徴といえるのが「新国立競技場」だ。そして、その建設工事の足場を一手に担ったのが日綜産業である。日綜産業はその他にも競技場観覧席をはじめとするオリンピックに関わる様々な建設工事の足場・仮設機材を担っている。新型コロナウイルスによるオリンピック史上初の1年延期などの困難を乗り越え奮闘した「東京オリンピック2020」開催までのNISSOプロジェクトの軌跡を追う。

profile

  • Yoshiyuki Igarashi

    五十嵐 慶幸

    東京支店 営業部 課長

    千葉県立幕張東高校を卒業後、1992年に入社。長年、足場・仮設機材を提案する営業を担当し、現在は営業部の課長として部下のマネジメント・育成も担う。本プロジェクトでは、新国立競技場の足場、競技会場観覧席の設営の営業を担当する。
  • Shozo Kashiwagi

    柏木 昭三

    エンジニアリング本部
    計画推進部 マネージャー

    名城大学理工学部建築学科を卒業後、1983年に入社。長年、設計職として技術を磨き、現在はマネージャーとして部内の管理も担う。1998年に開催された長野オリンピックでの業務経験から、本プロジェクトでも各種申請書類の作成や役所との折衝を担当する。
  • Tomoki Haruyama

    春山 智紀

    エンジニアリング本部
    計画推進部 チーフ

    東海大学工学部土木学科を卒業後、2006年に入社。法面工事や橋梁補修工事などの土木工事での足場設計を担う。本プロジェクトでは部内から複数の設計メンバーが担当を任され、主に新国立競技場の屋根工事での足場設計、競技会場観覧席の設計を担当する。
  • Mitsuru Takeuchi

    武内 満

    エンジニアリング本部
    応用設計部 チーフ

    日本大学理工学部海洋建築工学科を卒業後、2011年に入社。通常業務では、足場・仮設機材の製品開発や、特注案件における特注品の設計業務を担う。本プロジェクトでは、主に競技会場(青梅アーバン会場)の観覧席設営に伴う特注品の設計業務を担当する。

Episode.1

東京オリンピック2020開催決定。
五輪関連プロジェクトが始動する。

2013年9月、東京オリンピック2020の開催決定が全世界で発表された。日本中に歓喜の声が上がり、景気上昇の期待感の中、建設業界全体で次々にオリンピック関連工事がスタートする。日綜産業でも、イベント事業部がフロントに立ち、各プロジェクトが進められていた。そんな中、新国立競技場の建設に伴う足場設置の依頼が日綜産業に入ってきた。そして、その営業担当を任されたのが五十嵐である。五十嵐は、喜びとプレッシャーとが入り混じった思いでその一報を聞いたという。「多くの人が注目する世界的なイベントに関われることが素直に嬉しかったです。でも同時にこれは失敗できないなというプレッシャーも大きかったです。」営業として20年以上の経験を持つ五十嵐でも、この規模の案件を担当するのは数えるほどしかない。加えて特殊なデザインの建築物ということもあり、足場設置においても未知な部分が多い。五十嵐は、いつも以上に関係各所と密に打合せを行い、入念に概算計画・見積り作成を進めていった。

「新国立競技場を担当すると聞いて、これから大変になるぞと気を引き締めましたね。」そう語るのは、エンジニアリング本部でマネージャーを務める柏木である。長野オリンピックで構造計算書作成を手掛けた社歴35年を超える大ベテランも緊張の面持ちだ。柏木は足場の設計が法令に則っているかの確認や各種申請書類の作成を行い、役所への内容説明の役割も担う。「新国立競技場は特殊な設計なので、役所の担当者も初めてのことばかり。何度も説明を行い、申請するのも一苦労でした。」柏木がそう語るように、オリンピック案件は通常とは異なる一筋縄ではいかないプロジェクトだ。不安と期待を胸に、NISSOの一大プロジェクトが幕を開けた。

Episode.2

新国立競技場の建設がスタート。
工事全体の足場をNISSOが担う。

2019年12月、新国立競技場の工事がスタートした。着工前も営業、設計、製造が一体となり、綿密に計画を進めてきたが、実際に工事をはじめてみないと分からない問題は多い。問題が発生するたびに五十嵐は現場に駆けつけ、各関係者と打合せを行い、問題を解決していく。「基礎工事から段床、外周、屋根まで新国立競技場の工事全般の足場をNISSOが担っています。大規模な工事なので、とにかく関わる関係者の数が多くて大変でした。でも、社内で綿密に計画を進めていったこともあり、大きなトラブルもなく順調に工事を進めていけたので安心しました。」そう語る五十嵐は営業の傍ら、足場が安全に設置できているか毎日点検を欠かさなかったという。「新国立競技場はとても広いので、毎日点検場所を決めて順々に回っていきました。点検は地味な作業ですが、職人の安全を守る上でとても大切な作業で欠かすことはできません。新国立競技場の屋根に登るというのも特別な経験でしたね。」そう笑顔で語ってくれた。

新国立競技場の工事は順調に進み、とうとう屋根の工事が始まった。新国立競技場は円形で波打った屋根のデザインが特徴的で、足場設計においても最難関の部分である。その設計を担当したのが春山だ。「一番苦労したのは、屋根を設置する際に使用する“仮支え”です。通常通りの設置は難しく、最初はどうやってやるんだろうと頭を抱えました。周りのみんなに相談しながらゼロベースで方法を模索して何とか解決策を見つけることができました。」その他にも屋根工事は、特殊な形状のため吊り足場(当社オリジナル商品のクイックデッキ)が上手く設置できないなど、試行錯誤の作業が続いた。「屋根の形状に合わせて特注品をつくり、何度も現場で調整を重ねて足場を設置することができました。正直、当社のクイックデッキがなかったら、こんなにスムーズに完成までは行かなかったと思います。」春山は誇らしげにそう語った。

Episode.3

異例尽くしの競技会場の観覧席設営。
NISSOの技術が力を発揮する。

2019年11月、日本が世界に誇る美しい新国立競技場が完成した。約3年にわたる新国立競技場プロジェクトは、たくさんの人の力が合わさり、無事に終了を迎えたのである。しかし、東京オリンピックの本番はこれから。他にも多くの関連プロジェクトが同時並行で動き出していた。その中でも、競技会場(青梅アーバン会場)の観覧席の設営は、NISSOが抱える大きなプロジェクトのひとつだ。イベント事業部の部長(プロジェクトリーダー)が、大会組織委員会と幾度も打合せを重ね、熾烈なコンペを勝ち取った。イベント事業部による指揮のもと、新国立競技場に引き続き営業を担当した五十嵐は、とても難しい案件だったと当時を振り返る。「この競技会場は、バスケットボール3×3、スポーツクライミング、そしてパラリンピックの5人制サッカーの3つの競技を行う会場となります。1つの競技が終わるたびに、数日間で会場を作り直す必要があり、とても難易度の高い現場でした。」経験豊富な五十嵐にとっても、これは初めての経験。本来なら時間をかけて詳細に検討を重ねる案件だが、準備期間が短いため急ピッチで計画を進める必要があった。この難題を解決するためには、この案件に合った特注品の開発・製造と、何よりプロジェクトに関わる全員のチームワークが不可欠な要素であった。

その特注品の設計にあたったのが、応用設計部の武内だ。応用設計部は通常の足場・仮設機材では対応できない案件の際に、オーダーメイドで部品を設計する部署である。武内が語ったのは本プロジェクトの難しさとその特殊さだ。「とにかく大変だったのは、製造する特注品の数と種類。特注品の製造は通常の案件だと数種類~数十種類ほどですが、本プロジェクトでは200種類を超えるため、製造部と密にやりとりを行い、ミスがでないように注意して作業を行いました。数量をチェックするだけでも数日はかかりましたね。」3つの競技会場観覧席の作り変えという難題に対して、ゼロから製品を作りあげることで、不可能を可能にした。まさにNISSOの技術力があってこそ実現できたプロジェクトである。

2020年3月、オリンピック開催を目の前にし、バスケットボール3×3の観覧席設営が順調に進行していた。その矢先、予期せぬ事態に見舞われることになる。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピックの1年延期だ。決定を受けて、設営していた観覧席は一度解体することとなった。「延期の連絡を受けて、すぐに工場での製造をストップしました。製造計画の立て直しや製作機材の管理は大変でしたが、製造部と協力しながらチームプレーで乗り切ることができました。」そう当時を振り返る武内。そして1年後、多くの人が待ち望んだ「東京オリンピック2020」が開幕の時を迎えた。

Episode.4

東京オリンピック2020開幕~終幕。
一大プロジェクトを終えて。

2021年7月、新国立競技場にて東京オリンピック2020の開会式が行われた。そして新国立競技場では連日、アスリートたちの熱戦が繰り広げられ、世界中の人々に興奮と感動が届けられた。観覧席設営を担当した競技会場は、残念ながら無観客となってしまったものの、アスリートたちは最高のパフォーマンスを発揮し、会場を盛り上げてくれた。心配された3競技の観覧席設営も問題なくスムーズに進み、オリンピック・パラリンピック終了とともに本プロジェクトも無事に終幕を迎えることになった。

営業として5年間、本プロジェクト成功に向け奔走した五十嵐は、オリンピックが終わりこのように語る。「一生に一度の経験をさせてもらいました。確かに大変なこともたくさんありましたが、このプロジェクトでしか得られない多くの学びがあったと思います。観覧席を設営した競技会場でオリンピックを間近で見て、こんな素晴らしいイベントに関わることができたのだと誇らしい気持ちになりました。」

役所への申請書手続きという難しい役割を担当した柏木はホッと胸をなでおろす。「とにかくホッとしたの一言に尽きます。オリンピック期間中も、台風や地震などが来ないようにと願っていました。みんながオリンピックを見て楽しんでいる姿を見たとき、大きな達成感と自身の仕事への誇りを感じましたね。」

設計の春山は今回のプロジェクトを通して大きな自信につながったと語る。「大変なことも多くありましたが、大きなプロジェクトをやり遂げたことで自分に自信がついたと思います。今回のオリンピックのように多くの人が注目するような案件はそう多くはありません。自分の仕事がたくさんの人に影響を与えていることを改めて実感し、この経験を今後の仕事にも活かしていきたいと思います。」

設計の武内もまた、自身の成長を実感するプロジェクトとなったと語る。「今まで経験したことのない本当に大変な仕事でしたが、おかげで多くのことを吸収することができたと思います。設計としての視野が広がり、得難い経験とノウハウを身に付けることができました。」

project gallery

地足場

鉄骨建方開始

段床施工開始

屋根仮受ベント

屋根仮受ベント拡大

屋根鉄骨建方初日クイックデッキ

屋根鉄骨初日クイックデッキ設置

屋根クイックデッキ

屋根クイックデッキ2

 

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